今さら聞けない!なんで中国は発展したの?
中国って、そもそもどんな国?
ニュースを見ていて中国の話題が出ることが、ぐっと増えたと思います。爆買い、旅行客のマナー、反日問題、など悪いニュースも聞く一方、ビジネス的には発展を遂げた国として、注目の的となっていますね。
知っているようで知らない国、中国を政治的な側面を交えつつ皆さんと情報をシェアしていきたいと思います。
中国人って、どんな人たち?
中国(中華人民共和国)は、人口13億人を超える巨大な国家ですが、民族の比率としては人口の92%を漢民族が占め、残り8%を55の少数民族が占めます。
とても広大な国土をもつので、少数民族の中にはロシア系の血が混じったような、東アジア人とは異なる風貌をしている人々もいます。
その中でも大多数を占める漢民族の特徴を挙げるなら、基本的には勤勉で努力家、そして面子を重んじる傾向があり、”自分たちが世界の中心である”という中華思想を持っている人が多いです。
歴史的背景から見る中国人
内戦を繰り返してきた歴史からか、基本的に”騙すより騙される方が悪い”という性悪説に基づいた考え方をする人が多いようです。
中国は日本のように長く続いている王朝はなく、最後の王朝が”満州人”による王朝であったように、様々な民族が入れ代わり立ち代わり権力を掌握してきました。
世界から見た中国は?
世界中に移民として広がった中国人は、大体どこの国でも見かけるので、”アジア人といえば中国人”というイメージが世界では持たれているようです。
以前は”品質の低い製品を排出する国””知的財産権に疎い国”(パクり製品が多いということ)という認識を持たれていましたが、最近では”ビジネスが大きく拡大している国”というイメージを持たれはじめています。
どんな政策をとっている国なの?
中国(中華人民共和国)は第二次世界大戦後に共産党によって建国された国です。
ただし、政策は社会主義である一方、経済は資本主義を導入し、国が市場にある程度介入していることから、混合経済になりつつあると考えられます。
中国は、どのくらい発展しているの?
”中国の発展のスピードがすごい”ということは知りつつも、具体的にどのくらい発展しているのか、数字で中国という国を見ていきたいと思います。
発展の指標とは?
中国がどの程度発展しているのかを見るために、以下の要素を参考として2017年時点でのGDPランキングTOP5の国と比較していきます。
※どの統計値にも言えることですが、恣意的に歪められている可能性があるので、あくまで参考の1つとしてください。つまり、常に統計データは疑えということです。
数字で見る中国
- 経済要素 - GDP
2009年を境に、中国は日本を追い越しGDP世界第2位へ。
何よりすごいのが、GDPの成長率。グラフの右肩上がりっぷりが恐ろしいですね。
ただし、2019年4月時点で出されている日本総研さんのレポートによると、景気は減速傾向にあり、内需も減少傾向にあるとのこと。(参考:https://www.jri.co.jp/report/medium/china/)
- 軍事要素 - 軍事費
※ *は推計値
Excelの簡単なグラフで恐縮ですが、中国は軍事費でも世界第2位へ。
そして対GDP比でみると、アメリカが3.1%である一方、中国は1.9%。GDPの増加と併せてみると経済は伸びているし、国として拡大していく余力も多いにある、と考えられます。
- 環境配慮 - CO2排出量
CO2排出量は中国が世界で第1位を獲得。
中国が抱える13億人という人口と、製造業での発展に伴うCO2排出が主な原因でしょうね。”環境配慮”が次の中国の課題となると考えられます。
- 男女平等 - ジェンダーギャップ
※WORLD ECONOMIC FORUMの資料を基に作成(http://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2018.pdf)
このジェンダーギャップですが、簡単に言うと、男女がどれだけ平等であるかを表した表になっています。順位が低ければ低いほど、男女が平等でないということになります。
そして先進国はこの男女平等が進んでいる傾向にあります。G7は以下の順位になっています。(対象は149ヵ国)
- フランス 12位
- ドイツ 14位
- イギリス 15位
- カナダ 16位
- アメリカ 51位
- イタリア 70位
- 日本 110位
中国は103位なので、”先進国”としてはまだまだなものの、2006年時点では115位だったので、大きく躍進しました。
今回は日本と中国を対比して、何が違うのかを見てみたいと思います。比較表がこちら。(”健康”は省略しております)
ちょっと小さくて見づらい表になっていますが、まず赤字の一番上部分で、政治への関与(女性の議員比率)に関して、中国は日本よりジェンダーギャップが少ないことがわかります。
そして次に収入差を見ると、中国では女性は男性の6割程度の収入を得ているのに対し、日本ではなんと5割程度。(ただしこれは世界のほぼ平均値)
なぜ差が生じているのかを見ると、”Professional and technical workers(専門的な知識を要する”高収入”な職業の人たち)”の項目において、中国では男性より女性の方が専門的な職についていることがわかります。
そしてなぜそれが可能なのかというと、”Enrolment in tertiary education”(高等教育を受けている比率)の項目において、中国では男性より女性の方が高等教育を受けていることがわかります。
先進国の傾向として、女性の方が高等教育を受けている比率は高くなるので、ジェンダーギャップという観点で見た時、中国は日本より先進国の形に近いということが読み取れます。
ただし、このデータから読み取れるのはおそらく発展した都市部の状況であって、農村部はこのデータの通りではないと思います。中国は社会主義でありながら貧富の格差が非常に大きいので、ジェンダーギャップよりそちらが課題となるかもしれませんね。
中国は、どうやって発展したの?
時系列でみる中国の発展
まず、中国(中華人民共和国)の成り立ちから見ると、中国は戦後に社会主義国家として建国されました。
社会主義というのは、きれいな言い方をすると”みんなで幸せになれる平等な社会を目指そう”という考え方です。同じように働き、同じように給料をもらい、同じような生き方をしよう、というのが特徴です。
この社会主義思想には問題点があり、それは”どんなに働いても同じ給料”という、なんともモチベーション・競争意識の上がらない思想なのです。
その後改革開放政策という政策を実施し、資本主義経済を導入。そして国内に経済特区を作り、海外から工場を誘致しました。
これが功を奏してしばらくの間、”世界の工場”として発展しました。
そして海外企業を誘致し製造に励む一方、知識・技術を獲得し、それを転用して自国の製造業を発展させました。(悪い言い方をすれば技術をパクったということ)
その後、2013年に第三次産業が国内の産業で最も高い比率を占め、先進国の仲間入りを果たしました。(産業構造についてはまた後日)
今後どのくらい発展するの?
参考までに、今後の発展の指標の1つとしてユニコーン企業数トップ5を見てみたいと思います。ユニコーン企業というのは、以下の4つの条件を満たした企業のことを指します。
つまり、市場に知られていないめっちゃイケてる若いIT企業ということです。
ユニコーン企業数1位のアメリカの半分程度なものの、中国は3位のイギリスに大差をつけて世界2位の座をゲット。
ユニコーン企業の数が多いということは、国として「若手の勢いがある」「成長の余地がある(GDP成長率に寄与)」「世界を率いていく可能性がある」という重要な要素になっていると思います。
ちなみに、日本のユニコーン企業は1社のみです。
中国の政策「一路一帯」ってなに?
「一路一帯」とは中国が構想を掲げる超巨大経済圏のことを指します。
シルクロード(昔の交易圏)をなぞらえて、「現代のシルクロード」とも呼ばれます。
「一路一帯」の「一路」とは上の画像での青部分、つまり海上の交易ルートを指します。一方、「一帯」とは赤部分、陸上の交易ルートを指します。この、陸と海の交易ルートで囲われた部分が「超巨大経済圏」となる想定です。
どうやって一路一帯を実現させるの?
一路一帯を実現させるために、中国は今これらの都市にインフラ整備するよう、その莫大なチャイナマネーを使って、不動産投資を行っています。
最近では、イタリアが一路一帯構想への参加を検討し始め、EU内部で「待って!」をかけているところです。
規模、大きすぎない?
はい、とてつもなく大規模です。
そして無謀とも思える金額をこの一路一帯に費やしており、実はこれが「失敗に終わるんじゃないか」と最近では囁かれています。
2019年4月現在、中国は一路一帯への投資額を減少させたと報道されています。
米中貿易戦争ってなに?
アメリカ VS 中国で起きている貿易戦争です。
これまでの中国の発展は、アメリカからすれば「アメリカの技術を盗み、さらに対米黒字でお金を稼いでいる!(対中貿易は赤字)」となります。
それに対し、アメリカは「中国からの輸入品に追加関税をかける」という対抗策を行いました。一方中国は「そっちがその気なら」と「アメリカからの輸入品に追加関税」をかけました。これが貿易戦争です。
なんで貿易戦争は起きたの?
日本がGDP第2位にのしあがった頃、今と同じようにアメリカは対日貿易で大きな赤字を出していました。しかし当時は今のような「貿易戦争」は起きませんでした。
日本が選んだ道は、「貿易戦争」ではなく「アメリカへの譲歩(プラザ合意)」でした。というのも、日本は軍事面ではアメリカに依存しており、アメリカから大きく反する行為は難しかったからです。
一方で中国は、多少の歩み寄りはあるにせよ、今後もアメリカに対抗し、世界の覇権を握ろうとしていくことが予想されます。
貿易戦争の日本への影響は?
2018年9月時点での推察として、この貿易戦争により日本も影響を受けると考えられています。米中貿易戦争が続くことで両国の経済が悪化する可能性があります。両国の経済状況が悪化した場合、主には日本の自動車産業が痛手を負う可能性があります。(参考:日本貿易会http://www.jftc.or.jp/)
大河の思うこと(所感)
まさしくモーレツという言い方が正しい中国の発展スピード。
正直なところ、歴史的な背景から見ても、中国と日本ではあまりにも違うので、彼らの発展した経緯をなぞるのは日本には不可能だと考えられます。
特に一党独裁体制、情報統制、採算度外視の投資政策などは日本では実現が難しいでしょう。
しかし、中国はすごいけど日本はもうだめだ!なんて悲観せずに、何をまねできるかな?何を取り入れられるかな?という視点で中国をもっと解剖してみたいですね。
今回はざっくりと中国ってこんな国で、こんな発展をして、今後も伸びるかもねーという全般的な記事だったので、次回は1つ1つ細かく見ていきたいと思います。
具体的にはこんなところを考えています。
他にも知りたいことがあれば、コメント欄などで教えて頂ければと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!