ビジネス虎の巻

難しい政経問題をやさしく解説!

知らないとやばい!? ブレグジット(Brexit)とは?

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出展:Pixabay

イギリスがEUから離脱する”ブレグジットBrexit)”、”合意なき離脱”(No Deal Brexi)まで1日を切りましたね。

いま話題のブレグジットですが、そもそもブレグジットってなに?から、日本が受ける影響まで幅広く皆さんと情報をシェアしていきたいと思います。

 

 ブレグジットBrexit)とは?

Britain(イギリス)+Exit(脱出)をかけあわせた造語で、イギリスがEUから離脱する状況を指す言葉です。

 

EUってなに?

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”European union”の略語で、ヨーロッパ地域統合体(欧州連合)のことを指します。

似たような文化を持った国々が集まり、1つの国のように「ヒト・モノ・カネ・サービス」を各国間で自由に移動できるようにし、加盟国同士で協力しあいましょう!という統合体です。

パスポートなしで移動できる仕組みをシェンゲン協定といい、国によってはユーロを使用していない国もあります。

 

ヨーロッパにある国はすべてEUなの?

いいえ、違います。

2019年3月現在、EUに加盟している国は28ヵ国で、EUに加盟していない国もあります。

EUに加盟していないものの、ユーロを使用している、シェンゲン協定には参加しているなど、国によって統合体への参加状況は異なります。

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参考:EUおよびシェンゲン協定への参加イメージ

 

EU加盟のメリット・デメリットは?

 EUに加盟することで多くのメリットがある一方、もちろんデメリットもあります。

想定される主な要点としては、以下の3点です。

①小さな国が集まることで軍事力を高め、大国へ対抗することが可能になる

②関税を撤廃することで、経済的に発展する

③人の流出入により、職が奪われる可能性がある

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参考:EU加盟におけるメリット/デメリット

 

なぜイギリスはEUから離脱するの?

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EUからの離脱にはさまざまな理由があると言われていますが、ゆるやかにくすぶり始めていた反欧州感情とナショナリズムが主な原因と考えられます。

2008年に起きたリーマンショック以降の欧州における経済的な不安定さ

2015年以降に起きた難民問題を発端とする暴動・テロ被害への不安感。そして移民に仕事を奪われているという不満。

これらの国民感情が、ブレグジットへつながったと思われます。(上の図表でいう”生活面でのデメリット”部分)
※ただしこれはあくまで国民感情であって、事実とは異なる可能性があります 

 

どうやってブレグジットBrexit)は決まったの?

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2016年6月に”イギリスはEUを離脱すべきか、残留すべきか”という国民投票を実施しました。

その結果、離脱支持51.89%、残留支持48.11%という僅差で、イギリスのEU離脱が決まりました。

1975年にはEC(EUの前身)にも対して、離脱するか否かの国民投票を行いましたが、当時は67%で残留を決定。

残念ながら今回の国民投票では、前回と同様の結果は出せなかったということです。
※投票にあたり”実際に離脱することにはならないだろう”と安心しきった在留派が投票しなかった、雨だったから投票率が下がった”という意見もあります)

 

どうやってEUを離脱するの?

EUを離脱するには、2009年に制定されたリスボン条約50条という離脱に関する規定を定めた条約を発動させる必要があります。

簡単に言えば、リスボン条約50条を発動させるとEUから離脱できるということです。
※離脱通告のタイミングを”発動”という場合もあります

そしてこのリスボン条約を発動させるためには、離脱する国は欧州理事会EUをまとめている委員会)に「離脱しますよ~」と通告してから2年の交渉期間を設ける必要があります。

その2年間の交渉期間に、離脱する国は以下のことを決める必要があります。

欧州理事会と離脱に関する協定を締結”

”国内で離脱に関する協定を承認”

 

今までにEUを離脱した国はあるの?

EUに加盟後、離脱した国はありませんが、国民投票EU非加盟を決定した国はあります。それが、ノルウェーです。

ノルウェーEU加盟国ではありませんが、単一市場(EUの市場)には参加するという、EUのようなEUでないような立ち位置を保っています。

イギリスは離脱に際し、このモデルを”ノルウェーモデル”と称し、離脱方法の1案としています。

 

国民投票で決まったのに、どうしてモメてるの?

EUを離脱するためには、”欧州理事会との調整”そして”イギリス議会での承認”が必要となります。イギリス首相は”欧州理事会との調整”で合意に至った調整内容を議会にかけたところ、議会は調整内容を否決

なぜこの調整内容を否決するのかというと、以下の理由があります。

①政治的な駆け引き 
②イギリスが受け入れがたい調整内容が含まれている

そして当初リスボン条約により決まった2年の交渉期間のリミットである2019年3月29日に間違いなく間に合わない…という状況です。

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参考:ブレグジットにおけるタイムラインイメージ

ここからのシナリオとしてはいくつかあり、(今回は省略)EU残留派はこのタイミングにあわせて、”もう一度国民投票をやり直そう””EUに残留しよう!”という意見を表明するため、オンライン上で署名活動を開始しました。

2019年3月現在で、580万件を越えていると報道されています。(参考:https://www.bbc.com/japanese/47715947

 

ブレグジットBrexit)後の影響は?

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出展:Pixabay

世界への影響は?

まず大きな影響の1つが、ポピュリズムの台頭

ポピュリズムというのは簡単に言うと、エリート(悪)VS民衆(善)のように物事を2つに切り分け、「民衆(善)」の意見をもとに政治を進めるということです。

今回のケースで言えばEU(悪)VS民衆(善)という思考の背景があり、それはひいては移民・難民(悪)VS民衆(善)という対立につながる可能性があります。EUは移民・難民に寛容なので)

2つめが、EU崩壊への引き金になる可能性。

イギリスが離脱したことにより、他国も同様に離脱する可能性があります。

3つめが、EUの軍事的な方向の変更可能性。

曖昧な言い方をしていますが、つまり、イギリスがEUから離脱することによって、ロシアが得をする可能性が高まるということです。(詳細は省略)

 

イギリス国内での影響は?

ブレグジットしたことで、イギリスがどうなるかは実はまだ誰にもわかりません。

しかし想定される影響としては、自由貿易がなくなった場合、イギリスが輸入に頼っている食料・医薬品が不足する可能性があります。

次に、イギリスを拠点にEU各国へ輸出していた工場は閉鎖し、雇用が減少する可能性があります。そして、今までに築いた金融市場での地位が低下する恐れがあります。

一方で、移民・難民への制限を厳しくすることが可能になり、「仕事が奪われる」という不安感から逃れられる可能性があります。また、EUの分担金を支払う必要がなくなる可能性があります。

 

日本への影響は?

関税が上乗せされる可能性や為替リスクを考慮した結果、日本企業のイギリス支店を別の国に移転させる可能性があります。(すでに移転は始まっています)

それにあわせて人材の配置転換が生じる可能性、サプライチェーンの大きな変化、税務制度の変化によるビジネスの鈍化などが考えられます。

 

さて、はたして今後のイギリスはどうなっていくのか…。

随時みなさんと情報をシェアしていきたいと思います。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!